【マナビノキ キャリアde 探究 いろいろなシゴトを知ろう!~学芸員ってどんな仕事?~(鎌倉彫資料館)】

鎌倉彫資料館では、まずは学芸員の田村さんがつくってくれたミッションシートを元に実際に鎌倉彫資料館をぐるっと探検しました。ミッションシートでは、鎌倉彫がいつどのように伝わり、どうやって人々の生活の中で用いられるようになったかなど、クイズを解きながらわかりやすく学べるようになっています。
ある子がクイズを解きながら「こうやってクイズみたいにすると、ただ鑑賞してるよりわかりやすいし、楽しいね!」と話しかけてきました。「なんか学芸員さんって、先生みたい!」というので「なんで?」と聞くと「鎌倉彫に詳しいだけじゃなくて、それを分かりやすく伝えるためにクイズを作ったりするから」って。ちゃんと今日のマナビノタネ「学芸員の仕事がどんな仕事か知りたい!」をきちんと持って活動しているんだな!って、嬉しく思いました。
このように「問題解決型学習」に欠かせないのが、この「マナビノタネ(課題)」です。どれだけこの「課題」をキープし続けられるかによって子供たちの学びに大きく差が出ます。特に体験活動を伴う場合は、その体験や活動によって子供たちの興味関心がブレがちです。今回であれば、この子のようにクイズを解きながら「学芸員さんの仕事って…」って考えられることと「ああ、クイズ楽しかった~!」で終わった子では、学びの質が違いますよね?だからこそ、そこは教師がつっこみ、引き戻していくポイントだなって思います。
 さて、次に田村さんが提示したのは消しゴム大の大きさの四角い機械の写真。中を見ると何やら数字が書いてあります。「なんだろう?…23…あ、もしかして気温?」「じゃあ、下の50は湿度?」と答えると「正解!この資料館にはこれがいくつかあるんですよ。」そう言い終わらないうちに「あ!知ってる!それさっき見た!こっちだよ!」とある子が案内してくれました。子どもって「いつの間に!?」ってぐらい、知らない間に色々なもの見てるし、色々なこと聞いているし、色々なこと知ってるんですよね。
「ここでは、温度と湿度の管理がとっても大事なんです」と田村さん。みんなを秘密の倉庫に案内してくれました。「ここには、何百もの鎌倉彫が保管してあります。」「へぇ、なんか空気がひんやりする!」そうっと顔を入れてのぞきこむ子ども達。「みんなも自分たちが過ごしやすい温度や湿度ってあるよね?美術品や作品たちもそうなんだよ。1つ1つの作品たちが過ごしやすいな、心地いいなって思うように保管するのが私たち学芸員の役目なんだよ」と教えてくれました。するとある子が「うちの犬みたい。だって、夏は留守番するときはクーラーつけてるもん。鎌倉彫も生き物みたいなんだね。」って。そんなコメントにも「そう!生き物みたい1つ1つの作品を大事にしているんだよ」とにっこり答えてくれました。大人だったら鎌倉彫と飼っている犬を比べたりしないけど、そういう感性も子どもならではだな!って思います。突拍子もないようで、割と本質的だったり。
そして最後は実際に鎌倉彫に触れさせてもらいました。白い手袋をはめて、木箱をそーっとあけて…「ちょっとまって!」という田村さんの声掛けにびっくりする子ども達。「引きずらないで!」「箱をあけるときは2人で!」とにかく、慎重に慎重に扱わなければいけません。なかなか普段慣れない作業に戸惑いながらも、物にあふれる時代に生きている子どもたちにとって、こうやって慎重に、慎重にものを扱うっていう機会は、いい経験かもしれないなぁと思いながら眺めていました。いつの年代の物か、作者はわかるのかなど、鎌倉彫をひっくりかえしながら調べます。傷のチェック、傷み具合などもシートに書きこみます。
「この資料館にある作品、全部こうやって調べたの?」という質問に「そうだよ。学芸員の仕事は、保管するだけではなくて調べるというのもあるんだよ」と教えてくれました。
そして、最後のなんでも質問コーナー。「鎌倉彫の体験に使う彫刻刀は誰が研いだりしてるの?」という質問に「みんなが鎌倉彫体験で使う彫刻刀は、1回1回研ぎ師さんに出しているんだよ。刃が折れたり、欠けたりしていないかチェックするのも私たちの仕事だよ」と答えてくれました。「それも学芸員さんの仕事なの!?」と思わずびっくりした子ども達。
「伝える」「保管する」「調べる」・・・本当に多様な学芸員の仕事。子どもたちも1日の体験を通して「学芸員さんって色々仕事があって大変だなぁ…」という感想をもったようです。「1番大変な仕事はなんですか?」という質問には「イベントや企画展を考えることです。予算を立てたり、パンフレットをつくったり、次はどんな企画をしようかな…と来年のことも考えていますよ。」と答えてくれました。
今回「学芸員の仕事について、マナビノキでワークショップしたい!」という相談したときに快諾してくれた田村さん。「どうやったら子どもたちが学芸員に興味をもってくれるか」「小さい子どもたちでも体験できる仕事は何か」「鎌倉彫資料館の他に協力してくれる館はないか?」など、何度も練り直し、動き回ってくれたこと、その姿こそが「学芸員」なんだなって、思いました。
 「この仕事が好き!って気持ちとか、これを伝えたい!って気持ちがあれば、大変なことや、辛いことでも乗り越えたりできる。それが仕事。」そう「ふりかえり」に書いていた子がいました。それを読んで、自分にとって仕事はなんだろう?と思ったときに、1人でも多くの子供たちが「将来、こんな仕事をしてみたいな…」「自分の得意をこんな風に役立てたいな」って思えるような、自分の好きや得意に出会えるような、企画をこれからもつくっていくことが自分の「やりたい!」だし、仕事だなって思います。
ー「田村さんの子どもの頃の夢はなんですか?」
ー「そうだなぁ…学校の先生かな!」て。
なんか嬉しかった!
 
知りたい!やりたい!のタネをマナビノキに育てよう!

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