【マナビノキ 防災de探究 地震が起きたらどうする? 防災ハイク&非常食づくり!】(前編)

9月の1回目のワークは防災de探究。子どもたちと「もし今、地震が起きたらどうなる?そしてどうする?」ということを、ハイクしながら考えました。
鎌倉駅に集合した後、みんなで海へ。夏休みが終わったとは言え、まだまだビーチで遊んでいる人、サーフィンしている人など由比ガ浜にはたくさんの人がいました。気持ちのいい空と青い海を前にワークシートを広げた子供たち。いつものマナビノキなら「わぁ~!」と駆け出して「遊ぼう!」っていう活動が多いのですが、今回はいつもと違うワークショップ。
そう…「今、ここに地震が起きたとしたら…」という探究。今、目の前に広がる風景からは想像もしたくないことだけれど、だからこそ「教えないといけない、伝えないといけないんだ…」という気持ちで学びをスタートしました。
まずは、鎌倉市から出ているハザードマップとにらめっこ。「え!?今、地震が起きたら、ここに13分後には3m津波が来るの?」「本当だ!30分後には7mって書いてある」。そうはいっても、実際に3mや7mが想像できない子供たち。周りを見渡して「そうだなぁ…あの信号機が5mぐらいで、あの建物が7mぐらいかなぁ…」と伝えると「え、そんな高い波がくるの!?」「こわい。」と改めて実感したようです。
次に「波ってどれぐらいの速さなの?来たらぼくたちは逃げられるのかな?」と聞くので、波の速さについてのデータをみんなで見たところ水深5kmではジェット機(≒1000km/h)、500mでも新幹線(≒250km/h)ということがわかりました。
「つまり、この海岸につく頃にも、車ぐらいの速さはあるんだね…。じゃあ、走って逃げられないのか…」「一体どうしたらいんだろう…」と‥‥ますます黙り込んでしまった子どもたちです。
「知りたい!やりたい!」っていう気持ちって、プラスの感情(おもしろそう!やってみたいな!わくわくする~♪)をイメージすることが多いと思いますが、実はこういった「不安」「どうしよう…」「困ったな…」から始まることもあります。プラスのパワーも、もちろん「学びの原動力」になりますが、このマイナスのインパクトも大きな原動力になると私は思っています。
子供たちに「生活科とか総合的な学習の時間でやっていることって、結局大人が社会でやっていることと同じなんだよ」ってよく話します。例えば「こんな商品あったらいいな!」って思うものを作ってみたり、「こんな食事してみたい!」っていうお店を作ったり…。「これがあったらもっと便利だろうなぁ」って思うものを開発したり、「こんなサービスしたら、お客さんが喜んでくれるだろうなぁ…」って思いながら接客したり、世の中の仕事には、色んな人の「~したい!」をかなえるものがあります。でもその一方で「今、困っている人もこういうものがあれば、困らないじゃないか」とか、「もっとこうしたら、みんなが安全なんじゃないか」「被害を防げるんじゃないか」というように、「~しないようにするにはどうすればいいの?」ってことを考える仕事もあります。
だから、先生に教えてもらったことを覚えたり、ただやったりするんじゃなくて、生活科や総合の時間に「もっとこうしたらいいだろうな!」って思うことがあったらどんどん提案して、みんなでやってみたり、「~なことにならないように、どうしたらいいのかな?」って思ったことをみんなで解決したりする「学び」を学んでほしいって。大人になっても結局その力が必要になるんだよって。
「黙っていても仕方ない!13分でここに3mの津波がくるとしたら、その13分で何ができるか考えたらいい!みんなで考えよう!」ということで、防災ハイクをスタートしました。
避難ビル、海抜を示す電柱の表示、避難経路を示す道路標識…などなどチェックをしながら、ハイクです。
「ここ避難ビルになってるけど、6mだったらそれ以上の津波だったら危ないよね」「ビルって1回登っちゃったら下からどんどん人が来て、逆に降りられなくなるのかな?」「まだもう1つ先のビルまで行けそうじゃない?」など、なるべく実際を想定しながら歩きます。ハザードマップで紫になってるところは、3mの津波が来るところ。「ねぇ、なんで段葛のところだけずっと紫なの?」「あ、ここに滑川があるからじゃない?」「そういうことか、遡上してくるんだ」「確かにほぼ、並行してるね‥‥」なんて話も。
カドキホール、櫻井ビル、かまくら春秋スクエア…「もう北上できない!って判断したらこのビルに逃げればいいのか。覚えておかなきゃ。」メモしたり、じっとそのビルを見て覚えたりしていました。
八幡宮を目指して歩いている中…「でもさ、もし鎌倉の観光客や海で遊んでる人たちが全員ここを走って避難するとしたら、きっとすごい大混乱だよね。」「パニックの時だとよけいに怖いよね」「果たして、八幡宮に登れるのかな…」そういって小町通りの傍らで改めて地図を広げて確認。
「ねぇ、八幡宮は11mなのに、ここの避難場所70mって書いてない?」「ほんとだ!むっちゃ安全じゃん!」「じゃあ、そこに行ってみよう!」進行方向を西に変え、目指すは源氏山。
避難していることを忘れたのか、「のどか湧いた~!山道はいってきたぞ!あと少しだ!がんばろ~!」なんていつも通り、楽しそう登っていく子供たち。そんな子供たちのうしろ姿を見ながら、本当に地震が起きて津波がきたら一体どうなってしまうんだろう…って恐ろしい光景を想像して頭を横に振る。
いつもと違うマナビノキハイク。本当に地震があったときは、こんな風にはみんなでたのしく話しながらハイクはできないだろうけれど、こうやって歩いたことは絶対子供たちは覚えているはず。
それぞれ、自分で考えて、自分の力で助かってほしいな…そんなことをぼんやりと考えていると、「先生!はやく~!銭洗弁天についたよ~!」と子供たちの嬉しそうな声が聞こえてきた。
後編へ続く…。
「知りたい!やりたい!」のタネをマナビノキに育てよう!

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