【マナビノキ 防災de探究 地震が起きたらどうする? 防災ハイク&非常食づくり!】(後編)

銭洗弁天の標高は56m、そして鎌倉市の避難場所に指定されている源氏山は93m。「さすがにここまで、波は追いかけてこれないね」そう言いながら、坂の下を見下ろしている子供たち。「地震があったら、とにかく高いところに逃げればいいんだよね?」「海から離れて登れる山に登ればいいんだよ」とお互いに話していました。地震がきた時、津波がきた時、どうすればいいのかを知っておくことは大事、、それはそうなんだけど、、。
話はさかのぼって…数年前。東日本大震災の何年か後…当時5年生の担任をしていた私は社会科で「情報」の授業をしました。今回のワークショップで子供たちと使った「ハザードマップ」の授業です。ハザードマップは、鎌倉市もそうですが、各市がこれまでに起きた過去の地震から想定した津波の高さや浸水の範囲を色分けして記載しています。その時、社会の授業で使ったのは、東日本大震災で被災した釜石市のハザードマップでした。鎌倉市のハザードマップと同じように、7m以上、5m以上、3m以上…と津波が来るとされる予想地域色分けされていました。
多くの方の命が津波によって失われた東日本大震災。ハザードマップは人々の役に立ったか、、、実際に津波で命を落とした人々が居住していたマップを子供たちに見せたんです。子供たちは2つのマップを見比べたとき、驚いた顔をして「え!?」「なにこれ!?」「どういうこと!?」と口々に言いました。実は真っ赤に塗られた7m以上、5m以上と津波が来る地域の方のほとんどが生き残り、ハザードマップ上では、波が来ないとされていた何も色がついていない地域の方が命を落としていたんです。「一体これはどういうことなんだろう?」と子供たちと一緒に考えました。
情報の矛盾。「ここは危険ですよ!」という情報があったから急いで逃げて助かった人もいれば、「ここは津波が来ませんよ!」という情報をもらったばかりに命を奪われた人もいたということです。皮肉な話ですが、、「情報」とは一体何なんだろう‥‥そんなことを子どもたちと考えた授業でした。
 
「銭洗弁天まで来れば安心なんだよね?」「高波が来るまで30分はあるんでしょ?」そう聞かれたときに「そうだよ!大丈夫だよ!」と答えることは正しいことなのでしょうか。
 
この日の昼食は、ライフラインが止まった時を想定して、それぞれ非常食を作りました。パスタを水で戻し、ツナ缶とトマト缶を入れ和えた「ポリ袋パスタ」。決して美味しいとは言えないそれをほおばりながら「あまり、おいしくないけど…きっと、これが食べられるだけマシってことだよね…」「でも、缶詰もパスタもなかったら、一体どうすればいいの?」そう聞かれても、「こうするべき!」とか「こうした方がいい」はやっぱり答えられませんでした。
 そんな中、思い出したのは「津波てんでんこ」の話。「地震がおきたときは、親を待たずに、子もまたずに、各自てんでんばらばらに一刻も早く高台に逃げて、自分の命を守るんだよ。」って言う東北に伝わる言い伝えです。
 結局、防災に関して言えば、安全も確信も答えもない。その時、その場所で自分ができることやるしかないんだよ。今、自分に何ができるか?って必死に考えるしかないんです。
ちょっと違うのかもしれないけど、災害とか、困ったことがあったときに関わらず、究極「生きる」とか「生き抜く」ってことは、自分の頭で必死に考えて、自分で実行していくことなんだなって思います。どんな未来が来るかわからないけど、その中で生き抜いて行くのは子どもたち自身だから!
知りたい!やりたい!のタネをマナビノキに育てよう!

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