姿を変える食品シリーズ②牛乳が変身!冷蔵庫がなくてもできる!?アイスクリームづくりにチャレンジ!】(後編)

さて、いよいよ、アイスクリーム作り!「今日は、アイスクリームを自分で作って食べるんだ!」と朝からひたすら楽しみにしていた子たちにとっては長い長い道のりでした(笑)でも「牛乳と生クリームと砂糖を入れたジップロックを冷やして、タオルに包んで、ひたすら振り回す!」ってだけなら、それは単なる「あー楽しかった!おいしかった!」っていう「遊び」になってしまいます。まわりくどいかもしれないけれど、「遊び」を「学び」にプロデュースする!それが「マナビノキ」の役目だと思っています。
 
今の子どもたちって、遊ぶ暇もないぐらい忙しいってよく聞きますが、私はやっぱり子供の仕事は「遊ぶこと」だと思っています。以前、低学年の子供たちと「昔あそび」の授業で「ビー玉」を使って遊んだときのこと。ビー玉を手渡し、しばらく子供たちの様子を見守っていると、ある子がビー玉を指で挟んでじーっと見たり、太陽の光に照らしたりしていたんです。「なにやってるの?」と聞くと「先生、この中に、もう1つの教室が見えるの!」って教えてくれたんです。「どれどれ?」とのぞくと、確かに小さくみんながうつってます。「先生、ビー玉って小さな地球みたいだね」って言っていました。きっとその子にとっては自分が巨人になって指で地球をもっているようなそんなイマジネーションの世界にいたのかもしれないなぁ…って思いました。また、ある子は、ビー玉を指ではじいて遊び始めました。最初はコロコロ転がっていくのを拾いにっては、またはじいてと遊んでいたのですが、段々と嫌になったのか、転がるのを防ぐために、筆箱をおいて壁をつくりました。それを見た友達が「机をくっつけよう!」と言い、みんなで班にして遊んでいました。次に、他の子が「こうやったらスピード出るよ?」っていって、本を持ってきて滑り台のようなものを作りました。そこから転がすと、さっきの壁を通り越してしまうらしく、今度は角度を工夫したり、壁の高さを変えたりしていました。そうやって、夢中になって遊んでいた子どもたち…気付けば1時間の授業はとっくに終わり、2時間分、遊んでいました。
 
今、伝えたこの子供たちの「ビー玉あそび」を「学び」という切り口で説明するとしたら、たくさんの「気づき」と「気づきの質の高まり」を説明できるでしょう。それぞれの子たちが自ら「問い」をもってその「問い」をクリアすべく実験、検証し「気づき」を見出しているからです。そして、何より「遊び」は「学び」より主体的!なぜなら子供は「楽しいから、もっと遊びたいから」です。「もっと楽しく遊びたい」「もっとみんなで遊びたい」、だから、その中で工夫や知恵が生まれてきます。
 
「遊び」と「学び」は別のものではなく、「遊び」と「学び」を一体化すればいい。アイス作りの行程の中でどこかで切り取って「学び」にする「アイスって牛乳からできていたんだ!牛乳から色々な食品ができるんだなぁ…。」「氷と塩ってまぜると0℃以下になるんだ、なんでだろう?不思議だな」って知ってくれたらいいな、興味をもってくれたらいいなって。そうやって、遊びながら学んで、学びながら遊んで、知らず知らずのうちに「探究のサイクル」を身に付ければいいんです。だって、遊びでも、学びでも、仕事でも、趣味でも、その「探究サイクル」さえあれば自分自身が楽しめるようになるから…。それが「生きる」ことを楽しむってことにつながるでしょ?
 
氷と塩の入ったジップロックに、牛乳と生クリームと砂糖を入れたジップロックを入れて、タオルでぐるぐる巻きにして、友達と一緒に振り回しながらアイスをつくりました。タオルの巻き方も、振り回し方もそれぞれ、2人で相談して取り組みました。やりにくかったら変えてみたり、工夫してみよう!こうやったらどうなるかな?もっと冷たくなってかたまりやすいかな?」そうやって、経験と体験を通して、子どもたちは工夫したり、試行錯誤したり、予測したりする力をついていきます。思考力、判断力もついていきます。そして、何より「失敗してもいいから、とにかくやってみなきゃわからない!」って思ったり、失敗しても「失敗はつきもの!そこからどうすればいいか、考えなきゃ!」って前向きに考えられたり、自力で起き上がる力が身に付きます。
 
10分ほど振り回して、すぐにアイスになり「おいしい!」といって食べていたチーム、そんなアイスをおいしそうに食べている友達をうらめしそうに横目で見ながら、最後まであきらめずにひたすらシェイクしていたチーム、「もうだめだー」ってしゃがみこんでいたチーム、それを見かねて何かの筋トレか!?っていうぐらいシェイクしてくれた大学生ボランティアスタッフの子たち…。足りなくなった氷と塩を買いに走るスタッフ…。
そんな空間をふと俯瞰して見た時に、私はとっても嬉しい気持ちになるんです。うまく説明できないけど…。人が人のために動く姿も、自分のために動く姿も、遊ぶ姿も学ぶ姿も、大人でも子どもでも、全てが「営み」だなって。何を考えているか一人一人の頭の中は見えないけれど、それでもそれぞれ何か考えて動いて、生きてるんだよねって。だからこそ、子供には「自分の姿」でしか伝えられないし、見せられないなって。
 
そうそう!この日1番嬉しかったのは、ワークに参加してくれた男の子が「ねぇ、先生!今日のアイスすごくおいしかったから、弟にもつくってあげたいんだ!」「でも、ぼくの弟、牛乳アレルギーだから、豆乳でもつくれるか実験してみるね!」って、嬉しそうに話してくれたこと。そうやって自分に自信をつけ、人のために何かをしたいと感じることは、豊かな生活を自分で創り、「生きる」ことを楽しむことができる第1歩だなって思います。
 
 
やっぱり!たかが「アイス」、されど「アイス」だったなぁ…(笑)
「知りたい!やりたい!」のタネをマナビノキに育てよう!

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