マナビノキ JAXAの先生と一緒にロケットが飛ぶ仕組みについて考えよう!作って飛ばそうマイペットボトルロケット!(後編②)】

 JAXA職員山下さんをゲストティーチャーに迎えてのペットボトルロケットづくりのワークショップ。ロケット検査も終わり、いよいよ待ちに待ったマイペットボトルロケットの発射。よくあるペットボトルロケットは自転車の空気入れでペットボトルロケットの中に空気を送り込み、内圧によって飛ばしますが、今回のマナビノキワークでは「クエン酸」と「重曹」をペットボトル内で反応させるという方法で飛ばしました。
 それは、今回のワークは「ロケットが飛ぶ仕組みについて考える」ということが学びが目的だったからです。午前中、山下さんからロケットは別々のタンクから燃料と酸化剤を燃料室に送り込むことでガスを発生させることで飛ぶという仕組みを教えてもらった子ども達。実際に子供たちから「じゃあ、ぼくたちのペットボトルロケットは、何と何をまぜてガスを発生させるの??」って興味津々でした。
 このように「学び」には「プロセス」が大事。教えてもらうとか、本やネットで調べるという段階では子供たちの中では単なる「知識」でしかない。得た「知識」を自分なりに考えて「使う」というプロセスを経て、それは初めて「生きて働く知識」となります。
今回の例でいうと「ロケットって2つのタンクがあって、それぞれのタンクから燃料と酸化剤が出てきて、それが燃えてガスが発生し、満タンになったら風船みたいに飛んで行くんだ!」って知ったわけですから、実際の自分たちのペットボトルロケットもそうあるべきなんです。山下さんに教えてもらった「知識」が自分たちの「体験活動」によって活かされ「本当の知識」=「あぁ、こういうことだったのか!」と思う瞬間、つまり「知識の高まり」のようなものを実感することが「学び方を学ぶ」ということにつながります。
   自分が今まで知らなったことを「知った」ということに満足するのではなく「じゃあ、それを使ってこんなことをやってみたい!」「この場合ならどうなるんだろう?」と考える、これが「探究心」なんです。「興味をもつ」の先にあるものという感じかな・・・。
 さて、実際に「クエン酸」と「重曹」という2つの燃料を反応させたガス(二酸化炭素)を発生させたペットボトルロケット。ペットボトルに水を入れて、クエン酸と重曹を入れて、ゴム栓をして、地面に置きカウントする子ども達。
「5,4,3,2,1・・・」「スポッ・・・」「えっ!?全然とばない!?」そんなアクシデントが発生してしました。何度やっても、ゴム栓が外れて、水と空気が出てきて飛ばない・・・。「えー!?なんで?」「燃料を入れる順番かな?」「地面の置き方がわるいのかな?」「重りが重いのかなぁ…」色々とみんなで話し合いながら、実験を繰り返していくうちに・・・。「おおー!」「わぁーー!」「すごーーい!」と次第に歓声が聞こえるようになりました。
 飛ばなかった原因のほとんどは「ゴム栓がしっかりと閉まっていない」だったのです。内部の空気圧が高くなればなるほど、噴出される水と空気の威力が高まるのにも関わらず、子供たちが閉めたゴム栓は圧力が高まる前に外れてしまい飛ばなかったというわけ。実際に大人がぐいぐいと思いっきりゴム栓をねじ込んだペットボトルロケットはとっても良く飛びました。
もう1つの原因は「ノーズコーン」。ロケットの象徴といってもいいぐらいかっこいい「ノーズコーン」を、最終的に子供たちは「これが重いから飛ばないんだよね!」といって、自ら取っちゃったんです。「えー!取っちゃっていいのー!?」と私が思っていると、横で山下さんが「やっぱりノーズコーンによって向上する空気流体効果よりも軽量がベストってことか・・・」と何だかブツブツ。子供たちの謎な行動も、実は理にかなっているみたい(笑)
たくさん実験を重ねて、ようやく飛ばせるようになったペットボトルロケット。最初は飛ばなかったからこそ、最後に高く飛んで行ったときの嬉しさは、一入でした!
こういうときに、子供の遊びって、実はとっても本質的なんだなって思います。もちろん、山下さんにみたいな人工衛星を自分で作れるぐらいのすごいエンジニアになるには、これから先もっともっとたくさん学ばないといけないと思うけど、根底にある「このロケットをもっともっと遠くに飛ばしたいな。」「宇宙まで飛ばしたい!」っていう思いや願い、そこにかける夢は、もしかしたら、子供も実際に本物のロケットを飛ばしている山下さんも同じなのかもしれないなぁ・・・って思います。
最後に山下さんが子どもたちに「宇宙にいってみたい人?」って聞いたら、みんな目をキラキラさせながら勢いよく手をあげたんです。それをまた嬉しそうな顔をしてみていた山下さん。「子どもたちに宇宙を身近に感じてほしい、ただなんとなく宇宙ってすごい!っていう思いから、日常として感じてほしい」そんな思いがしっかりと子供に伝わった素敵なプログラムになりました。心から感謝しています。
 そして、今、山下さんが担当しているのが、10年後に打ちあげる人工衛星だとか・・・。今、目の前で元気よく手をあげた子供たちも、そのころにはもう立派な大人です。どんな大人になっているのかな??そして私たちは一体、何になっているんだろう?(笑)
何年たっても、目の前の子供たちが大人になっても、私たちももっと歳を重ねても、みんながみんな、ひとりひとり自分の「マナビノタネ」を「マナビノキ」にしていける大人でありたいですね!
知りたい!やりたい!のタネをマナビノキに育てよう!

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